日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(症例報告)
前立腺肥大に伴う閉塞性尿路感染症から高アンモニア血症を来した1例
大串 昭彦杉岡 隆山口 りか内藤 優香朝長 元輔百武 正樹山下 秀一
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2017 年 40 巻 2 号 p. 102-105

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抄録

意識障害の鑑別疾患の一つに高アンモニア血症があり,その多くは肝疾患が原因である.しかし,稀にウレアーゼ産生菌による尿路感染から高アンモニア血症を来すことがあり注意を要する.今回,我々は前立腺肥大による排尿障害から著しい高アンモニア血症を来し,意識障害に至った1例を経験した.症例は89歳男性.発作性心房細動と脳梗塞,前立腺肥大症があるが肝疾患はない.意識障害を主訴に救急搬送され,前立腺肥大に伴う尿閉を認めた.尿道カテーテル留置により混濁したアルカリ尿(pH 8.0)を認め,尿ドレナージ,補液,抗菌薬(Ceftriaxone)2 g/日で速やかに意識レベルおよび高アンモニア血症は改善した.尿培養からStaphylococcus simulansCorynebacterium urealyticumが検出され,いずれもウレアーゼ産生菌であり同菌の閉塞性尿路感染症による高アンモニア血症と診断した.肝疾患のない高齢者の高アンモニア血症の鑑別疾患として,ウレアーゼ産生菌による尿路感染症を考えることは重要である.

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© 2017 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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