日本プライマリ・ケア連合学会誌
Online ISSN : 2187-2791
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40 巻, 2 号
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Editorial
原著(研究)
  • 後藤 亮平, 渡邉 大貴, 柳 久子
    2017 年40 巻2 号 p. 62-66
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/06/21
    ジャーナル フリー

    目的:急性感染症で入院する高齢患者において,入院期間中の日常生活動作(Activities of daily living,以下ADL)能力の回復に関連する要因を明らかにすることとした.

    方法:急性感染症で入院し,リハビリが実施された65歳以上の患者を対象とした.ADL評価指標である機能的自立度評価法(Functional independence measure,以下FIM)を用い,FIM回復率を算出した.患者属性,在院日数等の期間,リハビリ開始時の身体機能(筋力,尿失禁の有無など)や精神機能(認知機能,うつ状態)のうち,FIM回復率に関連する要因を検討した.

    結果:対象者124例は,平均年齢82.5±7.7歳,女性68例(54.8%)であった.発症からリハビリ開始までの期間,尿失禁の有無,認知機能がFIM回復率に関連する要因として抽出された.

    結論:急性感染症で入院し,リハビリを実施した高齢患者のADL回復に関連する要因として,発症からリハビリ開始までの期間,尿失禁の有無,認知機能が挙げられた.

  • 牛久保 美津子, 近藤 浩子, 塚越 徳子, 菊地 沙織, 上山 真美, 恩幣 宏美, 堀越 政孝, 常盤 洋子
    2017 年40 巻2 号 p. 67-72
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/06/21
    ジャーナル フリー

    目的:病院看護職による退院後の暮らしを見据えた看護活動の自己評価の結果をもとに,在宅ケアの視点をもつ病院看護職育成のための課題を明確化すること.

    方法:9病院,13名の看護師を対象にしたグループインタビューを行い,質的帰納的に分析した.

    結果・考察:退院後の暮らしを見据えた看護活動の現状として,6カテゴリ:《他職種にまかせきりにしている》,《院内連携ができていない》,《訪問看護師との連携には格差がある》,《社会資源の知識がなく活用ができていない》,《勉強会参加,経験年数,興味関心により在宅ケアの視点をもつことができる》,《在宅ケアの知識があっても実践力がない》が抽出された.社会資源に関する知識不足や多職種連携ができてないことから,実践に結び付いていないことが考えられた.

    結論:退院後の暮らしを見据えた看護職育成の課題として,社会資源に関する実践的な知識不足を補うこと,かつ他分野他部署を超えた看護経験の積み重ねができるような勤務体制・施設間交流の工夫を行うなど,会得した知識を実践へと結び付けるための個人の資質向上と組織的な教育的取り組みが必要であることが示唆された.

  • 平井 良
    2017 年40 巻2 号 p. 73-78
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/06/21
    ジャーナル フリー

    目的:我々が作成した患者チェックリスト/スコアリングシート/標準的治療レジメンを用いた,胸部X線写真で異常を認めない成人の遷延性/慢性咳嗽症例に対する診断・治療システムの有用性を検討すること.

    方法:胸部X線写真で異常を認めない成人の遷延性/慢性咳嗽症例120例に上記システムに基づく診断・治療を行い,うち再診による治療効果判定が可能であった83例について検討した.

    結果:患者の平均年齢48.4歳(21-74歳),男性33名,女性50名,うち49例(59.0%)が気管支喘息,咳喘息,アトピー咳嗽などの「アレルギー性咳嗽」症例と最終診断された.再診時に67例(80.7%)の患者が中等度以上の症状改善(著明改善49例,中等度改善18例)を示した.

    結論:遷延性/慢性咳嗽症例に対する本システムは有用であるかもしれず,さらなる臨床的検討が必要である.

  • 伊藤 光, 平松 哲夫
    2017 年40 巻2 号 p. 79-85
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/06/21
    ジャーナル フリー

    目的:睡眠障害の患者に対して,医師と薬剤師が協働でプロトコールに基づく薬物治療管理(Protocol-Based Pharmacotherapy Management:PBPM)を実施し,その効果と患者満足度を検証した.

    方法:不眠の訴えがあった患者21名に対し,医師の診察前に薬剤師が面談し情報収集を行い,プロトコールに基づき睡眠薬の必要性判断,処方提案や認知行動療法的アプローチなどを行った.介入3か月後に睡眠状況の変化をPSQI(Pittsburgh Sleep Quality Index),ISI(Insomnia Severity Inventory),ESS(Epworth Sleepiness Scale)で評価した.患者満足度の評価はCSQ-8J(日本語版Client Satisfaction Questionnaire8項目版)を用いた.

    結果:介入3カ月後の睡眠状況は,介入前PSQI:10.3±4.1,ISI:15.0±5.3,ESS:8.7±6.6に比して,介入後PSQI:7.2±2.7,ISI:8.3±4.3,ESS:6.2±5.5で,いずれも有意な改善を認めた.CSQ-8Jの平均スコアは25.5±3.1で高い満足度が得られた.重篤な有害事象の発現はなかった.

    結論:睡眠障害の患者に対するPBPMは,患者の不眠症状を改善させ患者満足度も高い.PBPMにより薬剤師が主体的に不眠治療に参画でき,患者個々の薬物療法の適正化に貢献できることが示唆された.

  • 小林 晃, 畑 泰司, 山本 浩文, 鈴木 真紀, 竹元 慎吾, 宮上 寛之, 太良 光利
    2017 年40 巻2 号 p. 86-90
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/06/21
    ジャーナル フリー

    目的:徳之島の医療施設で経験した14例の悪性貧血について臨床的および疫学的検討を行った.

    方法:平成21年3月より平成26年5月までに当院で悪性貧血と診断した14例を対象として,後方視的に検討した.

    結果:全例50歳以上で,高齢女性に多かった.14例のうち6例は特に症状はなかったが,定期検査で大球性貧血を認めたことが契機で,悪性貧血の診断に至った.この期間における当院の年間発症数は中央値3(95%confidence interval[CI]:1.25-3.42)であった.

    結論:徳之島での今回の我々の成績では,悪性貧血の10万人当たりの年間発症率が,本邦の従来の報告例に比し,大幅に高い可能性があることが判明した.その理由として,高い高齢化率,看過されやすい疾患であること,民族的ないし地域的特異性が関与している可能性を指摘した.悪性貧血の罹患率は従来の報告より高い可能性があり,貧血の鑑別診断として,悪性貧血を念頭に入れて診療を行う必要がある.

  • 石丸 直人, 高屋敷 明由美, 前野 貴美, 河村 由吏可, 小曽根 早知子, 前野 哲博
    2017 年40 巻2 号 p. 91-98
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/06/21
    ジャーナル フリー

    目的:本学では地域医療教育プログラムの一環として,医学部2年生に,problem based learningテュートリアルと講義などを組み合わせた1週間の在宅ケアコースを行っている.本研究の目的は,そこで学習者が具体的に何を学んだかを明らかにすることである.

    方法:2010年度の筑波大学医学群医学類2年生全111名のレポート(自由記述)のテキストを,患者中心の医療の方法patient-centered clinical method(PCCM)の枠組みを利用してSCAT変法により解析した.

    結果:学生は「健康と疾患,病いの経験を明らかにする」,「患者を全人的に捉える」などといったPCCMの枠組みに沿い,経験に基づき,感情の動きを伴う学習を行っており,これらのプロセスが医師としての責任感の自覚につながった.

    結論:教室で行う在宅ケアプログラムが,医師としての責任感の自覚の機会になることが示唆された.

原著(症例報告)
  • 五十野 博基, 足立 真穂, 稲葉 崇
    2017 年40 巻2 号 p. 99-101
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/06/21
    ジャーナル フリー

    78歳女性が6ヶ月続く下痢を主訴に入院した.過去の検査から感染性腸炎や炎症性腸疾患,大腸腫瘍,甲状腺機能亢進症,副腎不全は否定的だった.かかりつけ医で8種類の内服薬を処方されており,前医下部消化管内視鏡検査(CF)で縦走潰瘍を認めたことからCollagenous colitis(CC)を疑った.ほぼ全ての薬剤を休薬したところ,13日後には下痢症状は消失した.CF再検査を本人が拒否されたため,CCの確定診断には至らなかった.退院後にプロトンポンプインヒビター(PPI)以外を再開しても症状の再発を認めないことから,PPIが原因と考えられた.PPIは,明確な適応が無いにも関わらず1年以上処方されていた.本症例から,第一に薬剤性のCCを疑った際には確定診断に至らずとも被疑薬を中止してみること,第二に薬剤有害事象の予防のため,日々薬剤の処方理由を再確認し,不適切処方を減らすことが重要であると考えられる.

  • 大串 昭彦, 杉岡 隆, 山口 りか, 内藤 優香, 朝長 元輔, 百武 正樹, 山下 秀一
    2017 年40 巻2 号 p. 102-105
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/06/21
    ジャーナル フリー

    意識障害の鑑別疾患の一つに高アンモニア血症があり,その多くは肝疾患が原因である.しかし,稀にウレアーゼ産生菌による尿路感染から高アンモニア血症を来すことがあり注意を要する.今回,我々は前立腺肥大による排尿障害から著しい高アンモニア血症を来し,意識障害に至った1例を経験した.症例は89歳男性.発作性心房細動と脳梗塞,前立腺肥大症があるが肝疾患はない.意識障害を主訴に救急搬送され,前立腺肥大に伴う尿閉を認めた.尿道カテーテル留置により混濁したアルカリ尿(pH 8.0)を認め,尿ドレナージ,補液,抗菌薬(Ceftriaxone)2 g/日で速やかに意識レベルおよび高アンモニア血症は改善した.尿培養からStaphylococcus simulansCorynebacterium urealyticumが検出され,いずれもウレアーゼ産生菌であり同菌の閉塞性尿路感染症による高アンモニア血症と診断した.肝疾患のない高齢者の高アンモニア血症の鑑別疾患として,ウレアーゼ産生菌による尿路感染症を考えることは重要である.

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