2017 年 40 巻 2 号 p. 67-72
目的:病院看護職による退院後の暮らしを見据えた看護活動の自己評価の結果をもとに,在宅ケアの視点をもつ病院看護職育成のための課題を明確化すること.
方法:9病院,13名の看護師を対象にしたグループインタビューを行い,質的帰納的に分析した.
結果・考察:退院後の暮らしを見据えた看護活動の現状として,6カテゴリ:《他職種にまかせきりにしている》,《院内連携ができていない》,《訪問看護師との連携には格差がある》,《社会資源の知識がなく活用ができていない》,《勉強会参加,経験年数,興味関心により在宅ケアの視点をもつことができる》,《在宅ケアの知識があっても実践力がない》が抽出された.社会資源に関する知識不足や多職種連携ができてないことから,実践に結び付いていないことが考えられた.
結論:退院後の暮らしを見据えた看護職育成の課題として,社会資源に関する実践的な知識不足を補うこと,かつ他分野他部署を超えた看護経験の積み重ねができるような勤務体制・施設間交流の工夫を行うなど,会得した知識を実践へと結び付けるための個人の資質向上と組織的な教育的取り組みが必要であることが示唆された.