2017 年 40 巻 2 号 p. 91-98
目的:本学では地域医療教育プログラムの一環として,医学部2年生に,problem based learningテュートリアルと講義などを組み合わせた1週間の在宅ケアコースを行っている.本研究の目的は,そこで学習者が具体的に何を学んだかを明らかにすることである.
方法:2010年度の筑波大学医学群医学類2年生全111名のレポート(自由記述)のテキストを,患者中心の医療の方法patient-centered clinical method(PCCM)の枠組みを利用してSCAT変法により解析した.
結果:学生は「健康と疾患,病いの経験を明らかにする」,「患者を全人的に捉える」などといったPCCMの枠組みに沿い,経験に基づき,感情の動きを伴う学習を行っており,これらのプロセスが医師としての責任感の自覚につながった.
結論:教室で行う在宅ケアプログラムが,医師としての責任感の自覚の機会になることが示唆された.