2018 年 41 巻 4 号 p. 155-162
目的:地域在住高齢者の閉じこもりの発生とSOCを含めた関連要因の変化を縦断的に検討し,関連を明らかにする.
方法:地域在住高齢者を対象に郵送調査を行い,閉じこもり状態,基本チェックリスト(CL),SOCを評価した.そのうち,非閉じこもり状態の虚弱高齢者を抽出して,1年後に追跡調査を実施した.1年後に非閉じこもり状態を維持した者を維持群,1年後に閉じこもりに移行した者を移行群に分類した.1年後の閉じこもり状態を予測する因子を多重ロジスティック回帰分析にて行った.また,移行群と維持群との間のCLおよびSOCの変化量を比較した.
結果:移行群は,維持群より初回調査時の運動機能,認知機能,処理可能感が有意に低かった.閉じこもり移行群は,金銭管理をしていない(OR:3.04,95%CI:1.19-7.82),処理可能感の低下[点](OR:0.82,95%CI:0.69-0.99)と有意な関連を認めた.また,移行群は維持群よりも1年後にうつ,処理可能感が有意に悪化していた.
結論:閉じこもりへ移行する者は,SOCの処理可能感がわずかに低いことが示唆された.