2018 年 41 巻 4 号 p. 163-168
目的:だれに医療費に係る未収金が発生しているのか,医療保険種類別の未収金の発生状況を明らかにすることである.
方法:松江生協病院から提供を受けた,2016年度医療費に係る未収金データ(2016年4月~2017年3月末診療分)を用いて,病院の受診形態別に保険種類別の未収金の発生状況について,定量的な分析を行った.
結果:病院の受診数に占める未収金の発生率は1.06%であった.組合健保は未収金の発生率が最も低かった.一方で,同じ職域保険である協会健保の未収金発生率は,組合健保の3倍程度であり,国民健康保険や後期高齢者医療よりも高かった.生活保護の発生率は入院を含む生協病院で最も高く,入院時のおむつ代や病衣代の未収金の発生が高いことが特徴である.
結論:未収金問題の緩和を推進するためには,受診形態別の未収金発生の特徴を理解したうえで,病院内の関係者の連携が重要であることが示唆された.