日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(症例報告)
在宅中心静脈栄養をうけている意思疎通困難な高齢者に生じたセレン欠乏症による大球性貧血の1例
進藤 達哉西岡 弘晶
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2020 年 43 巻 4 号 p. 138-141

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抄録

目的:セレン欠乏症は筋痛や筋力低下などで発見される報告が多いが,大球性貧血をきたすこともある.しかしその症例報告は少ない.在宅中心静脈栄養を受けている高齢患者に生じたセレン欠乏症による大球性貧血の症例を報告する.方法/結果:20年来のパーキンソン病のため寝たきりの89歳女性で,6年間在宅中心静脈栄養を受けていた.発熱で入院時,Hb 7.5 g/dL,MCV 131 fLと大球性貧血を認め,全血セレン 3.2 μg/dLと低値だった.セレン製剤を院内調剤し,セレン 100 μg/日の補充を行ったところ3ヶ月後にHb 9.7 g/dL,MCV 104 fL,全血セレン 5.5 μg/dLに改善し,セレン欠乏症による大球性貧血と診断した.結論:寝たきり高齢患者や認知症患者では筋痛などの症状を訴えられないことがあり,医療者はセレン欠乏症のリスクと症状に注意し早期発見と治療に努めることが大切である.

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© 2020 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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