目的:2つのGIS情報を突合し,南海トラフ地震時の宮崎県内プライマリ・ケア提供施設の被害を可視化,被害想定に基づいた実現可能性の高い対応策を考察する.
方法:国土数値情報の津波浸水想定データと日本医師会地域医療情報システム内医療機関情報データを突合させた.
結果:721の診療所と140の病院の内,診療所では139施設521床,病院では31施設4,713床が被災することが明らかになった.医療圏でみると,50%以上の施設が被災する地域は,延岡西臼杵(診療所,58.7%;病院,60.0%),日向入郷(診療所,84.2%;病院,61.5%)の県北地域であり,県北沿岸部の被害偏重が明らかになった.
結論:長期にわたる全県的被害へ対応するために,施設単体でなく隣県地域施設との連携体制により地域医療の継続性を高め,プライマリ・ケアだからこそできる平時からの住民共同の備えが必要である.