日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(症例報告)
幻視を伴う激しいせん妄を呈したneuromyelitis optica spectrum disorderの1症例
白石 渉
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2021 年 44 巻 2 号 p. 85-88

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抄録

目的:Neuromyelitis optica spectrum disorder(NMOSD)は,視神経炎と脊髄炎を特徴とする中枢神経の炎症性疾患である.視神経炎で初発し,幻視を伴う強いせん妄を呈したNMOSD症例を報告する.

方法/結果:既往のない82歳女性,X-15日に水平性半盲が出現,当科受診となった.視力は指数弁だった.髄液検査で単核球優位の細胞数増多を,頭部MRIで視交叉と視索に病変を認め,入院加療を行った.ステロイドパルスを開始したが,幻視を伴う強いせん妄が出現,拒薬や点滴自己抜去が出現し,入院3日目に退院となった.

結論:NMOSDは高齢者でも初発し,視神経炎を生じることがある.集学的治療で予後の改善が期待されるが,本症例は強いせん妄のために治療継続できなかった.高齢者の視神経炎症例は,視力障害がせん妄の増悪因子となり,医療者は早期発見と対応に注意する必要がある.

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© 2021 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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