2024 年 47 巻 3 号 p. 89-98
統合失調症の63歳男性が,1か月前からの食欲不振と下腿浮腫を主訴に受診した.上部消化管内視鏡検査で胃体上部から胃角部に肉眼型分類3型胃癌(病理:tubular adenocarcinoma,moderately differentiated type)を認めた.血清総蛋白4.7 g/dL,血清アルブミン1.5 g/dLで,造影CT・造影MRI,腹水検査で遠隔転移は認めず,進行胃癌cT4bN2M0,cStageⅢCと臨床診断した.低アルブミン血症はアルブミン投与に不応性で,審査腹腔鏡で癌性腹膜炎所見は認めなかった.消化管シンチグラフィで,胃癌から消化管への蛋白漏出を確認した.文献レビューで蛋白漏出性胃癌の臨床的特徴を検討した.胃体部や前庭部のBorrmann 0ないし1型腫瘍で,最大腫瘍径が10 cm近く,カリフラワー状外観を示す場合は蛋白漏出性胃癌の可能性が高く,癌性腹膜炎との鑑別のため,99mTc-HSAシンチグラフィと審査腹腔鏡を積極的に実施すべきである.