日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(事例報告)
腎機能正常の高齢者に生じたバラシクロビルによるアシクロビル脳症の1例
山本 淳生進藤 達哉八幡 晋輔
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2024 年 47 巻 3 号 p. 99-104

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抄録

症例は71歳女性.1ヶ月前の腎機能は正常であった.右大腿部の帯状疱疹と診断され,バラシクロビル(VACV)3,000 mg/日を処方された.その後腎機能障害と意識障害を来して入院した.アシクロビル(ACV)脳症を疑い,VACVの中止及び持続的腎代替療法を施行したところ,速やかに軽快した.後日ACV血中濃度が57.5 μg/mLと判明し,経過も踏まえてACV脳症と診断した.治療前の腎機能が正常であっても,腎機能障害やACV脳症を来しうる.本例のように治療前の腎機能が正常でVACVを投与され,ACV脳症を発症した症例の報告10例中9例が65歳以上であり,特に高齢者では注意が必要である.ACV脳症の症状は非特異的だが,早期に診断できれば薬剤中止のみで改善しうる.帯状疱疹は近年増加傾向であり,プライマリ・ケアの中でACV処方機会の増加が予想される.プライマリ・ケア医はACV脳症を熟知すべきである.

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© 2024 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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