2025 年 48 巻 3 号 p. 107-111
症例は9歳男児.発症当日に倦怠感,嘔吐が出現し,翌日に当科を受診した.ウイルス性胃腸炎として点滴補液したところ,症状は改善したが,その後も発熱を繰り返していた.発症12日目,右肋骨脊椎打痛陽性であり,造影computed tomographyを撮影し右急性巣状細菌性腎炎の診断に至った.尿培養からはEnterococcus faecalisが検出された.排尿時膀胱尿道造影で右にGrade Ⅲの膀胱尿管逆流を認めた.詳細な問診から就学後頃から家庭で用手的penile clampによる習慣性排尿延期の実態が明らかになった.幼児期にトイレットトレーニングが無事終了していても,学童期以降に不適切な排尿習慣が形成され,重症な尿路感染症の誘因となりうるため,啓発活動に努める必要がある.