日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(事例報告)
術前診断し得た胆嚢捻転症の1例
重留 一貴荒木 滉平山口 祥宗景 匡哉岡本 健鈴木 富雄
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2025 年 48 巻 3 号 p. 103-106

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抄録

症例は重症慢性心不全の既往ある91歳女性.右側腹部痛,嘔気で救急要請した.発熱はないものの腹膜刺激症状を伴い,右側腹部に著明な圧痛を認めた.腹部CTでは著明に腫大した胆嚢を認め,急性胆嚢炎と考えたが慢性心不全もあり保存加療を選択した.1週間絶食で抗生剤加療を行ったが,腹痛が持続し発熱も出現したため造影CTを施行したところ,胆嚢頸部が360°捻じれ渦巻状の形態となっており,胆嚢内に線状の高吸収域も認めるため胆嚢捻転症として高次医療機関へ搬送とし,同日緊急手術となった.本症例では入院初日の単純CTでは胆嚢捻転症の診断には至れず,1週間後の造影CTにて診断することができた.胆嚢捻転症の術前診断率は17%ともいわれており困難であるが,今回術前診断し得たため文献的考察を含めて報告する.

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