副詞の分布についてはよく知られているように興味深い特徴がある。このような特徴に対して多くの研究が認可の観点から説明を与えようと試みてきているが,それぞれに問題点も指摘されている。本論では,特にCinque(1999)の指定辞に基づく分析(specifier-based analysis)とErnst(2002)の作用域に基づく分析(scope-based analysis)の問題点を指摘し,代案として新たにフェイズに基づく副詞の認可方法を提案する。具体的には,(i)副詞はその認可子に局所的にc統御されることによって認可される,(ii)認可子はフェイズを超えて副詞を認可できない,という2点を提案する。そして英語の発話行為副詞と認識様態副詞の分布に焦点を当て,この提案の妥当性について論じる。