言語研究
Online ISSN : 2185-6710
Print ISSN : 0024-3914
The Quantifier Float Construction in Japanese
Minoru SHIMOZAKI
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1989 年 1989 巻 95 号 p. 176-205

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抄録

本稿は日本語における数量詞の移動の条件に関する問題を取り扱う。これまでの研究で, 「に」の付いた与格の名詞句からの移動の条件がとりわけ複雑であることが分かっている。ここでは, 従来から提案されている語順に関する条件 (即ち, 対格の名詞句に先行する与格の名詞句からの数量詞の移動は許されるが, 対格の名詞句に後続する与格の名詞句からの移動は許容されない) は, 必要条件ではあるが, 充分条件ではないことを指摘する。特に, 名詞句とそこから移動した数量詞との間に副詞類が介在してくる場合における文の適格性の判断を充分に説明するためには, これに加えて, 隣接性の条件が必要とされることを, 統計資料に基づいて明らかにする。さらに, この条件は与格の名詞句のみならず, 主格の名詞句からの数量詞の移動については適用されるが, 対格の名詞句からの移動には適用されないことを指摘する。

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© The Linguistic Society of Japan
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