2001 年 2001 巻 3 号 p. 7-13
七色の光を放つガラスは有史以来、人類の心を引きつけてきた。そのガラスにフェムト秒(1000兆分の1秒)という極めて短いパルスでレーザー光を当てると、まったく新しい機能が生まれることが最近、分かってきた。この現象は、科学技術振興事業団の創造科学技術推進事業(ERATO)の平尾プロジェクトで見つけられた成果である。我々は、この現象を「誘起構造」と名付けた。この新しいガラスに、産業界も大きな期待を寄せている。本稿では、特にフェムト秒レーザーとガラスの相互作用が、材料をいかに変貌させるかについて述べることにする。