2018 年 2018 巻 16 号 p. 5-14
本稿の目的は、流通過程の情報化の現状を整理することである。情報化の中でもインターネットの登場は流通過程における情報流に多くの変化をもたらした。それらについての部分的な研究は数多くあるが、それらを俯瞰して、また近時の問題点を含んで論じているものは少ない。したがって本稿はその全体像を描くことを目的としている。 その方法として、まず情報流の概念を再考しながらインターネット登場後の情報流の変化を跡づける。そこでいくつかの問題点、特にパーソナルデータに関するものを指摘する。そして情報と制御の流通理論を参照し、今日の流通過程におけるICTによるデータ流通の拡大やそれを利用したマーケティング、あるいは市場メカニズムの高度化を明らかにする。結論として、消費者の情報が市場の制御域で拡大していることが示され、そのことの意味も明らかにされる。