東京湾(_II_)(湾奥部)、東京湾(_IV_)(湾口部)、陸奥湾および噴火湾の沿岸海底堆積物コア試料、及びそれらの比較対象として外洋の北西太平洋海底堆積物コア試料中の主要並びに微量元素延べ14元素を中性子放射化分析により定量した。また、鉛210法を用いて沿岸堆積物の堆積速度及び堆積年代を算出した。その結果、_丸1_Ce/U比_-_Th/U比の相関は、全てのコア試料で相関係数が0.920_から_0.991と極めて高い相関を示した。また、東京湾(_II_)および噴火湾では全コアを通じて還元環境にあり、一方、東京湾(_IV_)及び陸奥湾では、少なくとも上層部で酸化的な環境にあることが示唆された。本研究で新たに導入したCe/U比_-_Th/U比を用いる方法は、堆積環境を知る上で極めて有効と思われる。さらに_丸2_FeおよびMnの濃度上昇が見られた噴火湾第5層(深度8_から_10cm)の堆積年代は、およそ1940_から_1950年と求められ、その年代は有珠火山の噴火により昭和新山が形成された1943_から_45年と一致した。