高レベル放射性廃棄物の地層処分場では、操業期間中の空気(酸素)の浸透に伴う酸化反応によって、酸化還元フロントが周辺岩盤に形成される可能性がある。この酸化還元フロントの形成及び二次的な物質移動のアナログとして、花崗岩の地下水が移動したと考えられる割れ目周辺に認められる酸化還元フロントを調査した。 XRFによる分析の結果、酸化帯のFe濃度は母岩に比べ高く、Feは二次的に付加したことが認められた。Mnは、酸化帯の濃度が母岩に比べ約5倍に増加し、外部から付加したことが確認された。 また酸化帯ではPb,Ba濃度が母岩に比べ約2倍となる。これらの重金属元素の濃集はMn沈殿物の吸着作用によって生じたと考えられる。 これらの調査結果は、酸化還元フロントの移動に伴って重金属元素が二次的に移動濃集することを示すものである。このような現象は、処分場近傍においても認められるアナログ的現象と考えられる。