北太平洋亜寒帯域の生物生産は鉄に強く律速されている事が、2001年より数回にわたり実施されている一連の鉄散布実験の結果等により証明された。これは同海域における一次純生産や物質循環を理解するためには栄養塩として鉄も測定しなければいけない事を意味するが、現時点で他の主要栄養塩に匹敵する時空間分解能で鉄を観測した例は皆無である。我々は親潮域の反復観測定線(A-line)において、鉄および関連する微量金属の継続観測を2003年1月から開始した。本講演ではその結果得られた冬期から春期ブルーム終了期にかけての親潮混合層における溶存鉄濃度の時系列変化を元に、ブルーム前の同海域における溶存鉄の供給源について議論する。