日本地球化学会年会要旨集
2004年度日本地球化学会第51回年会講演要旨集
セッションID: 3B03
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草津温泉における溶存ヒ素濃度経年変化
*木川田 喜一川井 智大井 隆夫
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抄録

草津白根山東麓の代表的源泉,草津湯畑源泉,万代鉱源泉,香草源泉における1960年代半ばから現在までの溶存ヒ素経年変化を求めた.1970年に湧出を開始した万代鉱源泉は1980年代半ばから1990年代半ばにかけて急激に溶存ヒ素濃度が上昇し,1990年代末には1970年代末に比較して約7から8倍のヒ素濃度を示すようになった.ヒ素濃度の上昇は鉄濃度の上昇と一致しており,両成分の供給源が同じであることが示唆される.草津白根山山頂に近い香草源泉,ならびに万代鉱源泉より標高の低い草津湯畑源泉では同様のヒ素・鉄濃度上昇傾向は認められず,これは万代鉱源泉に特徴的な経年変化である.一方,草津湯畑源泉水の水質が地下に浸透した万代鉱源泉水の影響を受けていることをすでに指摘しているが(小坂ほか,1998),溶存ヒ素濃度の経年変化からもその影響を読みとれる.

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© 2004 日本地球化学会
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