抄録
海底熱水噴出孔の近傍には、好熱菌と呼ばれる16SrRNAによる系統樹上で最も原始的と考えられる微生物が棲息している。これらの微生物は噴出孔の深部に地下生物圏を形成していることが予想されている。演者らは、小笠原水曜海山などにおいて、天然の海底熱水噴出孔および掘削孔からの熱水中に含まれる溶存態有機物を固相抽出ディスクを用いて捕集した。海底熱水噴出孔近傍には、堆積有機物が少なく、これらの有機物は、熱水孔下部の生物圏に関する貴重な情報源である。分析結果の一部は2002年度鹿児島年会において報告したが、今回は、その後に得られた結果について報告する。