抄録
KR02-15航海でとられた三陸沖コア(40N, 143E, 水深2215m)の有機炭素量、全窒素、アルケノン分析を行った。コア試料は、均質な珪藻粘土からなり、約3万年まで達していた。コア試料最上部のアルケノンから見積もられた水温は14.5度であった。これは、現在のブルーム時期である6月に相当する水温であり、求められた水温が現場の水温を正確に反映しているものといえる。最終氷期最寒期の水温は9.5度と現在に比べて、約5度低かった。また、後氷期においては、約2-3度の水温変動がみられた。これは安定していたと考えられている後氷期においても、緩やかな環境変動があったことを示唆しているといえる。