抄録
三陸沖は、親潮・津軽暖流・黒潮がぶつかり合い、多数の渦が形成される複雑な水塊構造をなす海域である。渦の中でも冷水渦は亜表層から表層に栄養塩を供給しており、この海域の高い生物生産を支えていると考えられる。最終氷期から現在にかけて親潮フロントの位置や黒潮流軸の変動、津軽海峡の閉鎖などが報告されており、海洋環境の変動が生物生産へ大きな影響を与えたと予想される。そこで三陸沖で取られたピストンコア試料を用いて、有機炭素量・オパール量・アルケノン量の測定を行い、過去2万7千年間にわたり生物生産がどのように変動していたかを、これまでの研究と併せて検討を行った。