抄録
地球温暖化などに伴う山岳氷河の融解量の経年変化の実態を復元・解析するため、中国甘粛省の七一氷河の末端の河川敷に生息する樹木(Caragana microphylla Lam.)の数個体から年輪円盤を採取し、年輪を1年刻みで分割してセルロースを抽出し、その酸素・水素・炭素同位体比を分析した。また比較のため、氷河の影響を受けない近傍の河川からも同樹種を数個体採取して、同じ分析を行った。気象観測データとの相関解析から、酸素同位体比は主に夏季の相対湿度と土壌水の同位体比に、炭素同位体比は主に水利用効率、つまり土壌水分量の影響を受けて変化することが分かった。炭素同位体比の経年変動パターンの2地点間での比較などから、同氷河は近年の温暖化に伴い、その融解量が継続的に増加し続けている可能性が示唆された。