抄録
石垣島白保から採取されたサンゴPorites c.f. australiensis のボーリングコアを用いて重金属元素を年代的に測定した。その結果、骨格中の鉛濃度は、1980年代初頭までは低位で安定していたものが、それ以降、漸増する傾向を示していた。近年、アジアの経済発展は目覚ましいものがあり、中国におけるエネルギー消費は1980年代以降、急激に増加している。中国のエネルギーはその大半が石炭によってまかなわれていることを勘案すると、サンゴ骨格中の鉛濃度の増加は、石炭の燃焼によって大気中に放出された鉛が、偏西風によって運ばれ、環境水中の濃度の増加をもたらしたことが原因ではないかと考えられる。