抄録
氷期における日本海堆積物(KT96-17, P-2)中のバクテリア由来バイオマーカー(n-C15, iso-C15, anteiso-C15, n-C17, iso-C17 and anteiso-C17 脂肪酸、C32 ホパン酸) の分布並びに炭素同位体比を分析した。TL-1(11-10ka)においてはどの化合物も後氷期やラミナの無い層準よりも存在量が高い。しかしながら炭素同位体比はほとんど変化しなかった。TL-2においてはディプロプテン( -74.0 ? -63.6 ‰)やホパン酸( -40.9 ? -31.9 ‰)の同位体比の低下が見られた。これらは無酸素水塊におけるメタン生成菌によるメタンが基質となってメタン酸化細菌が活動していると示唆される。しかしながら先行研究であるKH-79-3, C-3のディプロプテンの結果と大きく異なることから、これらのメタン放出並びに消費はあったものの、時期や規模などは地域の特性に依存することが考えられた。