抄録
分析法の進歩に伴い、様々な隕石物質から高精度タングステン同位体分析データが得られるようになった。最近では、コンドライトのCAIよりも初生的な(182-Hfの放射壊変の寄与を受けていない)W同位体組成をもつ鉄隕石もみつかっている。この理由として、宇宙線照射により誘起された中性子捕獲反応により、放射性起源核種である182-Wが他の核種へと変換されたという考えが提唱されている。本研究では、182-Wだけではなく、タングステンの他の同位体の存在度や、他の元素の同位体組成変化を調べ、宇宙線照射の影響を評価する。