日本地球化学会年会要旨集
2006年度日本地球化学会第53回年会講演要旨集
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口頭発表
陸水
  • 中村 明日子, 久野 章仁, 松尾 基之
    セッションID: 1A01
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
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    本研究では、河川底質における硫酸還元反応に着目し、硫化物や間隙水中の硫酸イオン濃度の定量によってその実態を明らかにすることを目指した。
  • 石井 里実, 赤木 右, 楊 宗興
    セッションID: 1A02
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
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    陸水中の溶存態鉄濃度の季節変化がどのようなメカニズムで生じているかを明らかにする。陸水中の溶存態鉄濃度はEhの低下をきっかけに上昇するように見られたが、溶存態鉄濃度とEhに強い相関は見られなかった。Ehの低下により還元され、溶存態となった鉄が溶存態として保持される条件も必要と考えられる。その要素として本実験ではDOCを取り上げ、天然水を還元条件から酸化条件に変化させた際の溶存態鉄の挙動をDOCの有無で比較し、その役割についても考察した。
  • 佐野 淳子, 川井 智, 木川田 喜一, 大井 隆夫
    セッションID: 1A03
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
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    Asは一般的に天然水中において三価または五価で存在し、価数や形態の違いによって異なる毒性や挙動を示す。そのため存在周辺域に与える影響も異なってくることからAsの価数別定量を検討する必要がある。本研究では、群馬県草津白根山西麓域の万座温泉を試料としてAs価数別定量を行い、当該地域におけるAsの分布及び挙動を捉えることを目的とした。実験方法は、pH 2-4の水中において高酸化状態の五価Asが共存する中で、Pb(PDC)‹SUB›2‹/SUB›(PDC=pyrrolidinedithiocarbamate)により三価Asのみを共沈させ、共沈物中のAsの定量をAsに対して高感度である中性子放射化分析により行うというものである。
  • 吉村 和久, 宮崎 貴史, 栗崎 弘輔, 高嶋 温子, 井倉 洋二, 高相 徳志郎, 中野 孝教
    セッションID: 1A04
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
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    沖縄県の西南部に位置する西表島は、ユーラシア大陸や台湾に近いために、これらの地域からの酸性雨に代表される酸性物質の長距離移流による影響を、本邦の他の地域よりも受けやすい。降水のpH観測より、9月、10月の台風時期の海塩の巻き上げのある時期を除くと、平均pH 4.7前後の酸性雨が降っていることがわかった。酸性降下物が島に与える影響を調べるため、pH(H2O)とpH(KCl)を測定した。交換性陽イオン含量が小さいほどpHは低い値を示した。ケイ質砂岩層が広く分布する流域ではHCO3-による酸緩衝能は小さく、酸性土壌や陸水への影響が顕著になることが懸念される。
  • 垣内 正久
    セッションID: 1A05
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
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    これまでに、二価遷移金属(コバルト、ニッケルおよび銅)塩化物の結晶水和物ー飽和水溶液間の水素同位体分別係数、およびそれらの飽和水溶液ー水蒸気間の水素同位体分別係数をそれぞれ独立に実験的に求めた。本講演では、二価遷移金属(コバルト、ニッケルおよび銅)塩化物の結晶水和物ー水和錯体ー水蒸気系における水分子の水素同位体分別に関する知見をまとめて報告し、水和錯体の水分子に関する同位体分別について発表する。
  • 佐久間 洋一, 緒方 良至, 垣内 正久
    セッションID: 1A06
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
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    電解濃縮を伴う液体シンチレーションカウンターによるトリチウム測定は,環境水のような低レベルの測定に最も広く使われている手法である。従来の電解濃縮・液シン測定法は時間が掛かる割にそれほど精度が高くなかった。市販の電解装置と液シン装置を用い,手法や装置を改良して合理化し、2日間の濃縮と25時間の計測で、測定下限0.02 Bq/Lを達成した。さらに,深層海水のような極低濃度のトリチウム測定法を検討した結果,1 Lの試料から,1週間の電解濃縮と1週間の液シン測定で0.0005 Bq/L程度まで測定できる見通しを得た。
  • 井岡 聖一郎, 岩月 輝希, 加藤 修, 今北 毅
    セッションID: 1A07
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
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    不活性条件化において白金電極を連続的に研磨しながら溶液の酸化還元電位を測定する場合と、連続研磨無しで溶液の酸化還元電位を測定する場合に得られる酸化還元電位の差異について検討した。連続研磨を実施した測定条件下では、溶液の酸化還元電位は、すぐに安定状態に達した。その溶液の酸化還元電位は、HS-とS42-が酸化還元平衡にあるとの仮定に基づいて熱力学的に算出される酸化還元電位とほぼ一致していることから、HS-とS42-の酸化還元反応が酸化還元電位に主に寄与していると考えられた。一方、連続研磨を行わずに溶液の酸化還元電位を測定した場合、連続研磨を実施した場合の酸化還元電位より約0.2V高い値が得られた。この原因として、白金電極表面への硫酸アニオンの吸着などの、電極-溶液間の電気化学的環境の変化が考えられた。
  • 水野 崇, 岩月 輝希
    セッションID: 1A08
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
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    本研究では,方解石の形成過程および形成環境を推察するために,花崗岩の割れ目から採取した方解石の酸素および炭素同位体比について予察的な分析を行った。その結果,酸素同位体比は概ね20‰程度の値を示した。一方,炭素同位対比についてはその値が-5から-45‰の広い範囲に分布し,従来の研究で認められていない-30‰以下の低い値を示す方解石が認められた。当該地域の地下水中の炭素は,主にHCO3-として溶存しており,低い炭素同位対比を示す方解石はこの炭素同位対比を反映していない。このことは,地下水中に溶存しているHCO3-以外に炭素の起源がある可能性を示しており,その起源としてメタン中の炭素が考えられる。ただし,地下深部における還元環境下でメタンが酸化するプロセスには微生物が関与する必要があり,今後はこの可能性について詳細に検討していく。
堆積物
  • 畑江 久美
    セッションID: 1A09
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
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    陸域炭酸塩岩から得られる情報は自然界における物質循環を議論するうえで重要である。炭酸塩中に含まれる硫酸イオンの濃度は、炭酸塩を生成する母液の硫酸イオンの濃度に依存することがわかった。この硫酸イオン濃度は、酸性降下物による地域の環境汚染を復元する際の指標となりえる。沈殿速度が異なる鍾乳石とトゥファにおいて、炭酸塩と母液中の硫酸イオンの間の分配定数を求め、炭酸塩沈殿時の硫酸イオンのイオン交換反応ついて検討した。
  • 矢吹 貞代, 金山 晋司, 古川 雅英, 赤田 尚史
    セッションID: 1A10
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
    会議録・要旨集 フリー
    沖縄県の島々に広く分布している、赤色土の成因については、従来、基盤岩である琉球石灰岩を母材とした風化残留物と考えられてきたが、近年、赤色土中の石英の酸素同位体組成、U-238等の天然放射性元素濃度などから、大陸起源の風成堆積物説が提起されている。本報告においては、これらの赤色土について、主としてSr、Nd同位体組成を用いて、地球化学的特性をしらべ、その起源について検討する。
  • 白井 厚太朗, 高畑 直人, 渡邊 剛, 佐野 有司
    セッションID: 1A11
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
    会議録・要旨集 フリー
    サンゴ・有孔虫・二枚貝などの生物源炭酸塩に含まれる微量元素の組成はこれまで水温など過去の環境を復元するために広く用いられてきた。しかし、微小領域では水温では説明できないほど化学組成が変動することが明らかになってきた。過去の環境を正確に復元するためには、元素取り込みのメカニズムを理解する必要がある。
  • 小豆川 勝見, 佐野 有司, 松尾 基之
    セッションID: 1A12
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
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    同一海域内の複数の遠洋性海洋堆積物コアに対して、多元素分析(放射化分析、即発ガンマ線分析)を鉛直方向に行った。その挙動を統計的手法により解析し、堆積物の供給源を自生作用などによる内因性、または陸源や海洋生物に起因する外因性に分類する。同時に本サンプリングステーション周辺で採取された別コアによる物性ないしSSTなどもパラメータに加えた。このことにより堆積年代当時のサンプリングステーション周辺の古海洋環境の推定を物理的な側面から行う。なお、測定に用いたコアは(独)海洋研究開発機構(JAMSTEC)所属の白鳳丸によるKH04-05航海にて採取された南大西洋の遠洋性コアであり、採取時における表層の攪乱がない特長を持つ。
  • 武蔵 正明, 大井 隆夫, 松尾 基之
    セッションID: 1A13
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
    会議録・要旨集 フリー
    水がサブダクションを通じて深部まで運ばれているとするならば、海洋プレートの沈み込みに伴う堆積物と間隙水との間の塩素同位体分別では、塩素が水和錯体として関与していると考えることができる。しかしながら、溶存する陽イオン種に比べて塩素の様な単原子陰イオンの水和環境や、水和を伴う同位体効果については、いまだ未解明の部分が多い。そこで演者等は、一連のクロマトグラム実験により得られた結果を基に、塩化物イオンの水和錯体に着目し、塩素同位体分別効果を検討した。本講演では、塩素同位体効果を評価する上で最近用いられている飽和溶液系の同位体分別係数が希薄溶液系では成り立たないことを示し、その原因が塩素同位体効果への水和の影響で説明できる可能性のあることを報告する。
  • 山田 正俊, 王 中良, 鄭 建, 加藤 義久
    セッションID: 1A14
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
    会議録・要旨集 フリー
    亜酸化的堆積物中におけるウランの挙動と海洋におけるウランの収支に果たす亜酸化的堆積物の役割を研究する目的で、同位体希釈誘導結合プラズマ質量分析法(ID-ICP-MS)を用いて、沖縄トラフと東シナ海から採取した堆積物中のウランとトリウム同位体を測定した。東シナ海の堆積物中における238U濃度と238U/232Th比は、深さによらずほぼ一定の分布を示した。沖縄トラフでは、表層酸化層で238U濃度と238U/232Th比が低く、亜酸化的環境になるとそれらは増加した。これらの結果を基に、ウランの沈着量と沈着機構について考察する。
  • 村松 康行, 土肥 俊忠, 松本 良, 武内 里香, 戸丸 仁, Fehn Udo
    セッションID: 1A15
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
    会議録・要旨集 フリー
    メタンハイドレートが存在する海底堆積物中の間隙水にヨウ素が高濃度に含まれていることが知られている。ここでは、南海トラフの海底堆積物間隙水に含まれるヨウ素を深度別に分析した。また、比較として臭素と塩素も測定した。間隙水中のヨウ素濃度は深度とともに増加し、場所によっても異なるが、深度150m付近で最大0.45mmol/L程度あり、海水の1000倍と高い濃度を示した。しかし、堆積物の固相の濃度は通常0.05mmol/Kg以下と低い値であった。臭素と塩素の濃度はそれほど大きな変化を示さなかったが、ハイドレートの存在する場所ではそれが溶けた水で薄められ濃度の低い層が見られた。得られたデータから考察すると、間隙水中の高いヨウ素濃度はその堆積物にもともと含まれていたヨウ素だけでは説明できない。下の層からの流れとともに移動してきたものがハイドレート層のあたりで濃縮されたと考える。これら得られた分析データからヨウ素の起源を探る。
  • 豊田 和弘, 篠塚 良嗣, 竹村 恵二, 北川 浩之, 安田 喜憲
    セッションID: 1A16
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、琵琶湖中央部で採取された十数m長のピストンコア試料を連続して中性子放射化分析した。鬱陵隠岐テフラ(U-Oki)層以外にもU-Okiより32 cmと177 cm下位の2層準でTa/Sc比の異常値がみられた.この層準では肉眼でも帯磁率測定でもテフラの混入は認められなかったが,この高いTa/Sc比の値は鬱陵火山起源に特有なアルカリ岩質テフラのわずかな混入を示すと考えられる。
  • 任 忠完, 豊田 和弘, 千 鍾華, 篠塚 良嗣, 池原 研
    セッションID: 1A17
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
    会議録・要旨集 フリー
    日本海南西端の韓国・鬱陵島から東南東にかけて分布する鬱陵隠岐テフラ(U-Oki)はATとK-Ahとの間で、未知のアルカリ岩質テフラが存在する可能性が指摘させている。しかし、鬱陵島からの火山噴火は比較的小規模であるため、肉眼では発見できないような薄い層厚のテフラも検出して層序を対比する必要があり、これまで不明な点が多かった。本研究では日本海南域の5地点のコア中の、数千年から1万数千年の堆積年代の試料について、放射化分析の結果を報告する。大陸の火山を起源としたU-Okiテフラは日本の通常のテフラとは化学組成が大きく異なっているため、わずかなテフラの混入でバルク組成が著しく変化する。その事を利用してU-Okiの上位と下位にいくつかのアルカリ岩質テフラ層を検出した。さらに、肉眼では検出されなかったK-Ahが混入したと思われる層も他の微量元素の比から検出した。現在、EPMAでその同定を行おうとしている。
  • 山下 義郎, 高橋 嘉夫, 清水 洋
    セッションID: 1A18
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
    会議録・要旨集 フリー
    Re-Os放射壊変系列は表層環境中において有用なトレーサーとして期待されている。特に海洋堆積物へのRe-Os系の適用は、単に物質移動に関する情報に留まらず古海洋環境についても有益な情報が得られると考えられている。その一方で、海水-堆積物系におけるReとOsの分別素過程に関しては充分な理解がなされていない。そこで本研究では、異なる酸化還元条件下において海水-堆積物間でのReとOsの取り込みを実験的に明らかにし、その結果をもとに天然系にみられるRe/Os比のもつ地球科学的意義を考察した。
  • 加藤 泰浩, 大澤 博, 藤永 公一郎, 末谷 真央, 鈴木 勝彦
    セッションID: 1A19
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,南太平洋のLau海盆 (ODP Site 834)から採取された海底堆積物を用いて,過去50万年間の海水のOs同位体比組成を復元し,氷期-間氷期におけるケイ酸塩鉱物の化学的風化強度の変動について考察した.過去50万年間の海水のOs同位体比は,187Os/188Os= 0.82-0.99であるが,氷期-間氷期サイクルに同期した変動は認められなかった.現在とLGM (Last Glacial Maximum)の海洋がOsに関して定常状態であると仮定した場合のボックスモデル計算から,LGMにおける河川Osフラックスは現在の約40 %と見積もられる.この河川Osフラックスの減少は,LGMの寒冷かつ乾燥した気候下で,河川水そのもののフラックスが減少したこと,あるいは化学的風化が弱まり河川水中のOs含有量が低下したためと考えられる.
  • 柏山 祐一郎, 小川 奈々子, 力石 嘉人, 菅 寿美, 野本 信也, 多田 隆治, 北里 洋, 大河内 直彦
    セッションID: 1A20
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
    会議録・要旨集 フリー
    堆積物中から抽出されるポルフィリン化合物(化石ポルフィリン)は、光合成生物が普遍的に合成するクロロフィルやバクテリオクロロフィルを起源とする。よってその安定同位体組成は、過去の環境中の物質循環や、光合成生物の代謝活動を直接的に記録したものであり、過去の海洋表層の物質循環を理解する上で有力な指標となりうる。本研究では、化石ポルフィリンを高速液体クロマトグラフィーを用いて単離・精製し、分析感度を向上させた元素分析計/同位体質量分析計を用いて測定する手法を確立した。また、単離した化石ポルフィリンを酸化分解してマレイミド化を行い、ガスクロマトグラフ/燃焼/同位体質量分析計を用いて、極微量のポルフィリンについても窒素同位体組成を測定することに成功した。また、中部中新統女川層(12~10Ma)及びイタリアの白亜系黒色頁岩(海洋部酸素事変;OAE-2)の分析結果に基づき、堆積当時の海洋環境について論じる。
  • 井上 源喜, 碓井 千穂, 水澤 沙織, 加納 涼子, 佐藤 知香, 谷 幸則, 河合 崇欣
    セッションID: 1A21
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/11/01
    会議録・要旨集 フリー
    モンゴル・フブスグル湖のグラビティコア中の有機成分により,最終氷期から後氷期におけるユーラシア大陸北東部における環境変動を推定した.全有機炭素濃度は最終氷期(約0.2%)から後氷期にかけて著しく増大し,気候最良期には約6%に達した.バイオマーカーの変遷より氷期には湖岸に草本植物が少し分布していたが,後氷期には生物生産量が増加するとともに高木植物が繁茂してきたと考えられる.
岩石・地殻
地球外物質
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