抄録
筆者らの最近の研究により、エアロゾル試料にイオウK端XANES法を応用することにより、エアロゾル中の硫酸イオン種の混合比の決定が可能になった。その結果得られる石膏や硫酸アンモニウムなどのエアロゾル中の濃度から、大気中やエアロゾル中の硫酸イオンが関連するいくつかの化学反応について、新たな知見を得ることができる。例えば黄砂が長距離運搬される途上で、炭酸カルシウムは硫酸と反応して石膏に変化すると考えられている。この反応の場合、イオンクロマトグラフィー分析から得られる全Ca濃度に対して石膏の濃度を比較すれば、初期的に存在すると考えられる主要なカルシウム鉱物である炭酸カルシウムが、石膏にどの程度変化したかが分かる。このような分析を中国各地や日本で黄砂期に採取された試料に対して適用し、カルシウム鉱物に占める石膏の割合の地域差などを議論する。