基礎試錐「東海沖・熊野灘」で採取されたコア堆積物試料について脂質バイオマーカー分析を行った結果、古細菌やメタン菌に特有な脂質バイオマーカーであるアーキオールやsn-2-ヒドロキシアーキオール、2,6,10,15,19-ペンタメチルイコサンが、表層から深度400 mの間のほとんどの深度において検出された。このことから、堆積物中にそれらの微生物が存在することが明らかとなった。これら脂質の濃度と全有機炭素量(TOC量)の間に正の相関が見られたことから、TOC量が古細菌やメタン菌のバイオマスを支配する重要な因子であることが推察された。さらに脂質組成から、全古細菌バイオマスに対するMethanosarcinales目に属するメタン菌のバイオマスの割合は約1割に相当すると見積もられた。