抄録
火山からの発散物である塩素についてその安定同位体比を測定した。試料には、薩摩硫黄島の126度から890度に渡る温度範囲の噴気孔や、日本各地の火山から採取した火山ガス凝縮水を用いた。薩摩硫黄島での塩素同位体比は-0.61から+0.29%oの範囲にあり、温度と同位体比との間には正の相関関係があることが認められた。高温噴気孔由来の凝縮水に含まれる塩素がもっともマグマの塩素同位体比を反映していると考えるならば、薩摩硫黄島のマグマは+0.29%oの塩素同位体比を持つものと考えられる。本講演では、他の火山から採取した試料の同位体分析結果と共に、塩素同位体比と温度との関係や他の元素や他の同位体比との関係について考察を行う。