抄録
生体試料の全窒素同位体比(SUP15/SUPN/SUP14/SUPN)は、食物連鎖における栄養段階の上昇に伴い約3パーミルずつ高くなることが経験的に知られており、この知見は生態系の食物連鎖網や窒素サイクルの解析に広く用いられてきた。しかし、この窒素同位体比変動(SUP15N/SUP濃縮)の詳細なメカニズムはほとんどわかっていない。BRそこで本研究では、藻類と捕食動物に含まれる12種類のアミノ酸の窒素同位体比を調査した結果から、生体アミノ酸の窒素同位体比変動を明らかにし、食物連鎖における窒素同位体比変動メカニズムを考察した。発表ではさらに、この結果を応用した生態学研究をいくつか紹介し解説する。