抄録
APO(Atmospheric Potential Oxygen)はStephens et al. (1998)によって導入されたレーサーで、近似的にAPO=O2+1.1xCO2で定義される。式中の係数1.1は陸上植物の光合成や呼吸の際の酸素と二酸化炭素の交換比率を表しているため、陸上植物の光合成や呼吸による酸素の二酸化炭素の交換が起こる場合にはAPOに変化が生じない。したがって、APOの変化は主に大気-海洋間の酸素や二酸化炭素の交換を反映することが分かる。このような特性からAPOの観測は、大気-海洋間のガス交換係数の推定や海洋循環モデル・海洋地球化学モデルの検証、炭素収支の高精度化に応用されている。また、海洋プロセスの時系列変化に関する研究や大気境界層と自由対流圏の間の物質交換に関する研究にも応用されつつある。