抄録
東濃ウラン鉱床の基盤岩である土岐花崗岩のボーリングコア試料を用いて、特に風化や熱水作用による変質が認められる箇所のウラン、トリウム、ランタノイド等の微量元素を定量し、岩相と微量元素の分布と挙動について、ナチュラルアナログの視点から考察し、次の知見を得た。1.上部の風化部では、全体に水が関与して風化し、酸化環境にあったが、割れ目表面部で岩石-水反応により鉄が溶出し、還元作用を有し、ウラン濃度が低下したことが示唆された。2.下部の変質部では、熱水変質を受けた箇所でウラン、トリウムとも濃度が低くなっており、熱水作用により両元素とも溶出し、移行したものと考えられる。最下部の断層部は、白色粘土鉱物化しており、酸性の熱水作用等により、ウラン等微量元素が溶出し、移行した可能性が示唆された。