ベーリング海峡周辺海域の古環境復元は、過去の高緯度域の環境変動を捉える上で重要である。本研究では、海底堆積物中のSrおよびNd同位体をトレーサーとして利用し、周辺大陸からベーリング海、およびベーリング海から北極海への物質輸送の変化を捉えることを目的とする。今回は特に対象地域の現在の環境と表層堆積物のSr、Nd同位体比の分布の関係に着目した。得られたSr、Nd同位体比の分布はベーリング海峡を挟んだ北極海側とベーリング海側で堆積物の供給源が明らかに異なることを示唆している。今後、氷期と間氷期の間の分布の変化を探る重要な手掛かりとなろう。