抄録
上越沖(佐渡南西沖)の海鷹海脚周辺海底では近年の調査でメタンハイドレートが回収されており、海底直下にメタンハイドレートを胚胎した海域であることが明らかになっている。海底下にハイドレートとして胚胎されたメタンが海水を通過し大気まで到達するか否かを判定することは、過去あるいは将来の急激な気候変化を考える上で極めて重要である。そこで本研究では「淡青丸」を用いて、海鷹海脚を中心に半径5 km以内の計22地点で海水試料を各層採取して海水中のメタン濃度分布を定量し、この海域における海底下からのメタンフラックス、さらに大気へのメタン放出の可能性の有無を検討した。