ジルコン(ZrSiO4)と褐レン石((Ca,Ce)2(Al,Fe2+,Fe3+)3(Si3O12)(OH))は、火成岩中の副成分鉱物として普遍的に産出し、U-Th-Pb同位体年代や岩石の起源の解明に適用される重要な鉱物である(e.g., Gieré and Sorensen, 2004; Heaman and Parrish, 1991; Hoskin and Ireland, 2002)。日本列島の花崗岩質岩石からは、希土類元素やHFSE元素を多量に固溶した変種のジルコン(例、苗木石や山口石など)やMnを特に濃集した褐レン石がこれまで数多く報告されてきた(e.g., Nagashima & Nagashima, 1960; Hasegawa, 1960; Hoshino et al., 2005 and 2006) 。このような特徴的な化学組成を持つジルコンや褐レン石の産出は、大陸産のものとは異なり、日本列島産花崗岩質岩石に特有であるが、その原因は解明されていない。