抄録
これまで硫黄の安定同位体はd34Sの研究が盛んであったが、近年の測定技術が改善したことにより33S/32S,36S/32Sも高精度に測定可能となった。これによりd34Sでは分らなかった微生物生態内代謝過程やd34Sの変動が小さいために評価できなかった硫黄酸化細菌などの影響を定量的に評価できる手段として注目されている。但し極めて新しい手法のため基本的なデータが不足している。岩石や迫{実験に関しての報告はあるが、天然の環境における測定例はない。そこで本研究では天然の微生物活動による四種硫黄同位体比の挙動に関して知見を深めることを目的として、成層湖であり、硫黄化合物を消費・生成する菌が数種存在する長野県の深見池の季節変動について発表する。