抄録
試料中の希ガス存在度や同位体比は、時間的制約をも与える地球の進化過程のトレーサーとして幅広く使用されているのにもかかわらず、それらの地球化学的な振る舞いのいくつかの基本的な面についてはまだあまり理解されていない。我々は、希ガス地球化学の重要な問題である、粒界と結晶の希ガスの分配の程度について取り組みはじめた。現在予察的な実験として、平均粒径0.50µm~0.98µmの多結晶体を用いて1350℃で真空条件下10時間、大気雰囲気下10時間と50時間、Ar雰囲気下で10時間の拡散実験を行った。その結果、ブランクと真空条件下、大気雰囲気下では検出限界以下であったのに対して、Arを1気圧下で10時間拡散させた試料については10~50 ppbで、Watson et al. (2007) らの結果と比べると溶解度が非常に低い結果が得られた。