抄録
生体内には様々な金属元素が存在し、それぞれが生体機能維持に強くかかわっている。なかでもCa, Fe, Znなどは生体必須元素とよばれ、生命活動を維持するうえで重要な役割を果たしている。これまで金属元素の生理機能や体内動態研究に対しては、放射性同位体や濃縮同位体が利用されてきたが、近年のMC-ICP-MSの実用化により金属元素について高感度かつ高精度な同位体分析が可能となり、生体における同位体効果を利用した応用研究が広がりつつある。本研究では、Caの安定同位体を用いてヒトの体内におけるCa代謝機構を調べる目的で、高精度Ca同位体分析法の開発を試みた。安定同位体を用いた議論を行うためには、試料から高い回収率でCaを回収する必要がある。これは、元素の分離過程で同位体分別が起こりうるからである。本研究では陽イオン交換樹脂を用いたCaの化学分離法を開発するとともに、Caの回収率と化学分離過程における同位体分別を系統的に調べた。