抄録
火山学・防災の観点から、火山噴煙を観測する事は重要である。火山ガスの組成及び放出量はマグマの活動・深部にあるマグマの量を反映しているため、噴火活動を理解する上で良い指標になる。火山ガスの主成分の一つである二酸化硫黄放出量の測定には紫外分光計が用いられてきた。だが、この機器では噴煙のごく一部の情報しか得られないため、噴煙全体を捉る事が難しい。この問題を解決する観測方法として、紫外線カメラを用いた観測方法が挙げられる。この方法を用いれば、秒単位の時間分解能で噴煙内の二酸化硫黄カラム量を視覚的に求める事が出来る。我々は、この観測装置を用いて2008年5月に桜島、南岳山頂火口・昭和火口から噴出する火山噴煙の観測を行った。今回は、この観測データを用いて南岳山頂火口・昭和火口からの二酸化硫黄放出量の差異について考察すると共に、桜島の活動と火山ガス放出量の短時間変化の関連性について議論する。