抄録
本研究では、日本固有の魚種であるアユについて耳石のSr同位体比を用いた回遊履歴の解明が適用可能か検証を行うことを目的とし,アユの耳石のSr同位体比と併せてアユの生息している河川の水のSr同位体比の分析を行い,両者の比較を行った。 伊勢湾に流入する長良川、櫛田川、宮川、そして東北地方の鵜住居川で採捕したアユから採取した耳石とそれぞれの河川水のSr同位体比を分析したところ,耳石と河川水のSr同位体比の間にきわめて良い相関が認められた.これは、アユの耳石のSr同位体比は回遊履歴の解明の有力なツールとなり得ることを示している。