抄録
本研究は,東太平洋赤道湧昇域における生物起源物質の緯度分布および年代分布を明かにすることを目的とした.表層海底堆積物は西経95度を北緯8度から南緯8度にかけて縦断し,計8本の試料を得た.また過去の生物生産量の変動を復元するために,同測線上の北緯4度,0度,4度において各1本のコア試料を採取し,カルサイト,オパールおよびバライトを測定した.
堆積物表層におけるカルサイト含有量の緯度分布はほとんど見出されなかったが,オパールに関しては南緯2度で最も高く,南北に向かうにつれて対称的な減少傾向を示した.また,ピストンコア中のカルサイトおよびオパールの質量堆積速度は現在から1万年前と比較して,約2万年前は2から4倍高いことがわかった.