抄録
原生代末期′テ生代前期の遠洋深海チャート試料について、メスバウアー分光法を用いて含有鉄化学種を同定し、当時の深海における酸化還元条件の解明を試みた。試料は、イギリス(後期原生代クライオジニア紀<Gディアカラ紀)、シベリア(エディアカラ紀<Jンブリア紀)、カナダ(オルドビス紀)、およびモンゴル(デボン紀)から採取された付加体チャートである。
各チャート試料からは、赤鉄鉱、常磁性3価鉄、および常磁性2価鉄が識別された。いずれの試料も、主要鉄鉱物として赤鉄鉱を含有し、黄鉄鉱は全く含まないことから、Fe(III)/Fe(II)の酸化還元電位という基準では相対的に「酸化的」な環境で堆積したと考えられる。この結果から、地球表層海洋の深海は、遅くとも原生代末期までに、酸化的な条件に達していたことが明らかになった。