抄録
水質汚濁防止法による環境基準を超える全国の地下水汚染事例のうち約4割が硝酸・亜硝酸性窒素によるものであり(環境省,2007),東京理科大学野田キャンパスのある野田市では深度約20mより浅い自由地下水で,硝酸性窒素による汚染が進んでいる(村松・福田,2006)。今回,野田市全域の自由地下水を対象に,水質組成を調査して硝酸性窒素汚染の二次元的な広がりを明らかにするとともに,窒素・硫黄安定同位体比を測定して硝酸性窒素の汚染源を特定した。さらに、高硝酸性窒素汚染の進む1地点で長期連続の採水分析を実施し,地下水の硝酸性窒素濃度へ与える化学肥料の経時的影響,および降水の自由地下水への涵養を検討した。