抄録
骨の形成の程度を知る測度として,測定の簡単な趾灰分含量が用いられており,骨の灰分含量と高い相関があることはすでに知られている。本論文では,趾灰分による有効リンの測定条件における脛骨と趾の灰分含量の関係について検討した結果を報告する。
白レグ種雄ヒナ計1,310羽を用いる7回の実験のそれぞれのデータについて,脛骨灰分含量(x%)と趾灰分含量(y%)との間に,y=a+bxで説明される直線関係が認められた。各回ごとに,係数bは変動するが,誤差範囲内であって,共通の係数,0.364,を適用できる。しかし,係数aの変動は,大きくはないが統計的に有意であって,実験ごとに動くと考えられる。
肉用種ヒナについては,190羽を用いる2回のデータについて検討したが,実験ごと,および性別による回帰関係の差異は認められず,1つの回帰式で説明できることが示された。
リン含量の幅が同じで,リン以外の成分の含量は同じ飼料で実験しているにもかかわらず,脛骨や趾の灰分含量,あるいは両者の関係には,卵用種と肉用種との間で明らかな差が認められる。
しかしながら,同一鶏種による同時期のデータを比較する生物定量実験の場合には,趾灰分は骨の形成の程度を示す指標として信頼できるといえる。