抄録
プレートテクトニクスと火成活動を含むマントル対流の数値シミュレーションを行い、以下のようなマントル進化の描像を得た。初期地球(冥王代から太古代初期)のマントルでは、マグマ・オーシャン消失後、豊富な放射性元素による強い内部加熱のため、オーバーターンが頻発し、「マグマの池」に代表される激しい火成活動を引き起こした。マントルは、この激しい火成活動による化学的分化にもかかわらず、オーバーターンによる強い撹拌のため化学的に均質化された。マントル・オーバーターンに伴って間欠的・カオティックにプレート運動が起こった。やがて、放射性元素の崩壊のため内部熱源が減衰すると、マントル・オーバーターンはやみ、沈み込んだ海洋地殻がマントルから分離し、下部マントル深部に安定なスーパープルームを形成するようになった。この結果、プレート運動も安定化し、持続的なプレート・テクトニクスが発現するようになった。