抄録
樹木年輪セルロースの酸素同位体比(d18O)の分析により、小氷期中期のマウンダー極小期(AD1645-1715)における日本本州中部の気候(相対湿度)を復元した。気候復元データを、太陽活動データやグリーンランド気温と比較することで、太陽活動変動と気候変動の対応関係や、気候が太陽活動に応答する時間・空間スケールを探った。その結果、太陽活動に影響されて準周期的な湿度増加スパイクが出現しており、少なくとも北半球スケールで同期していたことが示唆された。しかも、太陽活動変動のシグナルは大気を介して伝播したと考えられる。本発表ではさらに、d18O経年変動データの詳細な解析や、より高解像度(週~月スケール)のd18O変動データから、太陽活動が気候に影響するメカニズムについて考察・議論する。