抄録
本研究では,中学校理科の雲発生のメカニズムの学習を事例として,理科授業の社会的構築場面における子どもの学習意図の機能を明らかにし,こういった子どもの学習意図を重視した教師の具体的支援について提案した。具体的には,次の二つの点が指摘された。
(1)教師の専門性に左右されない支援には,授業展開の学習課題の設定に関わる授業のプランニング,学習プリントの準備と提示などのように,事前に準備することができる類のものと,疑問や感想などの自由な発話や机間指導の際の自由な相談のように,授業中において単に許容すればよいだけのものとがある。
(2)教師の専門性に左右される支援には,子どもの既有知識に基づくプレテスト,子どもの科学概念構築過程における学習プリント,子どもの獲得知識に基づくポストテストのような自由記述式の学習成果に対する評価・分析と,科学概念構築過程における他者との概念の交流である社会的構築場面での子どもの発話に対する評価・分析の二つがある。